負傷猫で川崎市動物愛護センターに収容され、引き取った子です。
白血病陽性キャリア　耳が聞こえません。
くるくると同じ場所を回って歩いてしまいます。
それはそれは小さくて体重2キロを保つのがやっと、生きているのが不思議な位ガリガリで、ずーっと下痢していて動くところお部屋のどこにでもウンチがついてしまいますが、すみれちゃん自身は気にせず、足元にスリスリ体を押し付けてきます。

そんな可愛いミラクルなすみれちゃんにお迎えが近づいているのを福島活動出発の数日前から感じていました。
福島活動は、人のいない町に取り残された猫達の命をギリギリ支えるために、たとえ保護猫が最期であろうとも、変わりに行ける人はだれもいませんので絶対に行かなければなりません。出発前は、具合の悪い子達をどうしていくか、薬を飲ませたり、自力で排便できない子の排便をさせたり、危険な状態の子は動物病院に入院させたりといつもバタバタします。

今回、すみれちゃんが元気そうに動いていました。11月近況報告の写真のように、キッチン台に飛び乗って、ごはんも食べていました。



けれど、いつもと何か違うことを感じました。
体の皮膚に何カ所も内出血のあとが見られたり、いつもと違う鳴き方をしました。
ですので、すみれちゃんと、リンパ腫の投薬が必要なダイちゃんと、腎臓や他にも異常があるミオちゃんを病院に預かってもらって出発することにしました。

病院には、シェルターの方からも数匹、重症の子達を預かってもらっています。
獣医さんやスタッフには、本当に感謝です。
ご寄付で活動させていただいていますから、通常の治療費を支払ってではとてもこの子達を救えません。
獣医にとっては、沢山利益を得て沢山お給料をもらえるのが良いはずですが、私の活動主旨を理解してくれて、私の一言で、殆ど無償に近く、どんなときも気持ちよく何頭もの子達を引き受けて一生懸命に治療を施してくれるのですから。そしてまた、私が、福島から救わなければ生きていけない子達を何頭も連れ帰るのを待ってくれるのですから。

入院中の事は気になりますが、私は、できる時に出来ることを精一杯することに徹しています。
自分がいない時いない場所でもしものことが起きても、それが病院であれば精一杯やってくれた獣医達を信頼していますし、シェルターであれば精一杯やってくれたボランティアさんを信頼していますので、後悔はしないことにしています。

この時、シェルターから入院させたうちの清美ちゃんも末期をうかがわせる状態でした。出発前、シェルターボランティアさん達の気持ちを思い、メールしました
2014/11/26 (水) 12:40「お疲れ様です。入院中の清美ちゃんですが、白血病の発病と思われます。15時以降面会可能です。」

病院では重症の子は、獣医の目の届く位置に入院させますので、通常いつでも面会できるわけではなく面会時間を指定していますが、獣医達もシェルターボランティアさんたちの気持ちや都合を理解してくれて、できる限り長い時間面会できるように配慮してくれています。福島で救った清美を置いて福島に出発する私は、もう会えないだろうと心の中で思いました。

シェルターで大切にしてくれたボランティアさん達の気持ちを思い、もう一度メールを送りました

2014/11/27 (木) 2:47「お疲れ様です。
清美ちゃん、ゴロゴロ言ってくれますが
とても辛い状態です。
面会希望されます方はお早めに。
待てない時が来るのは早いかもしれません。
ごめんなさい。
29日30日は、結、福島です。」

連日の二度のメールをシェルターボランティアさん達に送るのがやっとで、自宅の留守を見てくれるボランティアさんにはスミレやダイやミオ達を、病院に預けていくことのメモ書きさえもする時間の余裕がなくなり、福島活動に間に合うギリギリの時間で出発しました。心の中では詫びる事ばかりですが、いつも、行き届かない私をフォローしてくれて、反対に、「ミオちゃんたち病院に行っているのですね。福島お疲れ様です。」といっぱい、書置きをして行ってくれます。

福島で、獣医から清美ちゃん死亡の報告を受けました。
シェルターのボランティアさんが二人来ていてくれて見守られる中で息を引き取ったそうです。私は、よかったと思いました。

福島に入ってからの活動は、ものすごい神経の集中が続き、30台以上かけた捕獲器に事故が起きないか回収忘れがないか、途中のトラブルで回収不能になることがないかなど、活動終了まで重い責任に言葉で言い表せる精神状態ではなくなります。
福島にいてスミレやダイやミオ達の事がとても気になっていても、詳しく聞くことはできません。今生きていてくれてる、私は、今私が果たすべきことを懸命にこなすことだけです。

福島で救えた7匹の猫を連れて、川崎へ。
病院のスタッフが閉院後の遅くまで待ってくれている。コーヒーを何本も飲んで、帰りの常磐道を急ぎました。病院に到着して、スタッフに、全部の子達を院内に落ち着かせてもらってから、私は、すみれちゃんを自宅に連れて帰りました。

お世話している200匹の中には、常に具合の悪い子達がいます。
フォスターペアレントさんには、年に1度さえの近況報告も遅れに遅れています。
ロク君が亡くなった時も、何日も過ぎてからフォスターペアレント様に電話報告をさせて頂きました。
永くにお世話になり、ひとつの命をずっと支えて頂いてきたのに、なんと、亡くなった時が初めての電話となりました。なんと無礼なことでしょう。
それでも、フォスターペアレント様は、自分にできることをと、また、次の子のフォスターペアレントをお申し出くださいました。

清美ちゃんが亡くなり、平太君が亡くなり、すみれちゃんが亡くなり、本当に永い間お世話になっておりますフォスターペアレント様にまだ、報告も入れられておりません。
平太君、すみれちゃんのお世話をして下さったボランティアさんにも、こんなことがあってもいつも次回あった時の報告です。

電話一本、メールひとつできない自分が嫌で、皆様に感謝すればするほどずっと気になっていることで、フォスターペアレント様への近況報告更新の大変な遅れも、ボランティアさんに協力してもらって必死にやっても全く追いつかず、それでも何も責められることなく何も要望されることもなく年月が過ぎて、甘えたまま参りました。
しかし、今回初めて、厳しいお叱りを受けました。大切な連絡ができていないと。
全くその通りです。

特に、震災原発事故後に福島入りしてからの、時間のなさはどうにもなりません。メチャクチャです。
これで良いなどとは思っておりません。
しかし、解決するには、動物を助けない事で時間を作る、これしかありません。
すみれちゃんのような子がセンターに収容されていても引き取ってはいけない、わたしにできることなのか。

12月、またひとつ歳をとります。時間のない中で、よく考えてみたいと思っています。
そしてその考えたことを、全国の支えて下さっている皆様にも犬猫救済の輪のボランティアの皆様にもお伝えしたいと思っております。

いきとどかないバタバタの中ですが、ロク君、清美ちゃん、平太君、すみれちゃん、保護したことに後悔はありません。

自分のできていないことを真摯に受け止め、この場より、失礼、ご無礼致しております皆様に、心から感謝とお詫びを申し上げます。

　
　川崎市動物愛護センターから引き取ったころ


　


　

すみれちゃんと約6年間、一緒に暮らさせて頂きました。

フォスターペアレント様。ありがとうございました。